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戦時統制下の航空学校

October 19, 2018

 昭和十三年、財団法人山梨航空研究会の認可が下りた。

 昭和十四年、『山梨航空技術学校』の設立許可が下りた。これは旧制中学校の資格を有していた。義三は日本航空学校の名前を強く主張したのだが、軍からの指導は一民間人が日本の名称を受けるのは軍の威光に影響すると言われ、やむなく山梨航空技術学校とした。

 とにかく、義三の飛行学校は、設備だけでなく認可も揃い、学校の陣容は整っていったのである。

 所有していた飛行機はサルムソン機二機、三式陸上機三機、アンリオ機二機など十数機だったが、昭和十二年七月勃発の日中戦争の影響で燃料の配給が減り、操縦を教えるために飛行機を飛ばす燃料の確保はむずかしくなっていた。

 さらに、当時全国に十ヵ所ほどあった公営の飛行学校は、軍用機製作を請け負う飛行機製造会社の試験飛行のために練習場を提供することとなり、廃校するしかなくなっていた。

 そのようななか、義三の運営する飛行学校は私立であり、更に官立乗員養成所の指定を受け国の飛行士や軍の整備士養成も行ったので学校を継続していくことができていたのである。これまでありったけの私財を注ぎ、個人の渾身の努力でやってきた学校へのわずかばかりの恩恵といえる。

 

 その頃の日本の状況はといえば、昭和十三年一月、政府は中国に和平打ち切りを通告し、「爾後国民政府ヲ対手トセズ」と近衛内閣が声明を出し、日中戦争終結の道を閉ざしてしまった。中国では徐州作戦、武漢作戦と戦線が膠着状態となり、日本国内では総力戦体制を目指してさまざまな分野で統制が進み、人々の自由は制限されていった。

 ちなみに、昭和十三年一月に厚生省(現・厚生労働省)が発足している。「厚生」とは、衣食を十分にして国民の生活を豊かにするという意味があり、陸軍の熱心な要望から生まれたものだ。衛生省、保健社会省の仮案を経て、厚生省となった。厚生省発足後まもなく設置された傷兵保護院は、増加する傷痍軍人の治療に追われ、職業部は軍需産業における人手不足に対応するなど、日中戦争の影響をもろに感じさせる存在であった。

 

 国内の飛行学校が軒並み廃校となったなか、義三は全国紙に「生徒募集」の小さな広告を出した。

 するとどうであろう、全国から約二千人もの応募者があった。飛行機の整備や操縦が学べる飛行学校は、若者たちにとって憧れの学校であったのだ。

 試験日当日めがけて受験生とその親が殺到し、飛行学校に近い甲府の湯村温泉の宿はどこも泊まりきれないほどの人が溢れ、その混乱ぶりはのちに伝説となったほどだ。

 入学試験の結果、五百人が合格した。

 だが、それだけの数の生徒全員を寮に収容できないため、近隣の民家に下宿させてもらえるように交渉した。

 校長の義三は、入学式の挨拶で全国から集まった生徒と父母に向け、こう言った。「皆さんは、本校を信頼されて入校されたのですから、本校の教育方針に従って向学に励んでいただきたい。特に道徳、礼儀、規律を教育の基本として忠君愛国の精神を滋養します」。

 

 この時期、航空の知識や技術とともに強い精神力と優れた人間性を備えた人材育成を掲げることにした義三の学校に、一人の青年が入学してきた。

 十六歳、強い光を放つ小さい瞳の奧に熱く秘めたものを感じさせ、独特の存在感を放っていた。

 彼の志望動機は、「この学校で鍛錬し強靭な心身によってお国のために役立ちたい」というものであったが、朝鮮半島出身で満州育ちの身の上で、学費も生活費も自分でアルバイトをして稼がなくてはならない苦学生だった。

 都会と違って山梨のしかも飛行学校のある周辺にはアルバイトといえば土木作業などの肉体労働しかない。彼は、昼間は飛行学校で勉強し、夜間に睡眠時間を削って肉体を駆使する労働に従事する生活を黙々とこなした。

 この青年は、のちに武道家・大山倍達としてその名を轟かせる人物であった。

 

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