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FLY TO THE FUTURE-第1章 途方もない夢への離陸15-

July 17, 2018

昭和十年になると、世の中は軍需景気に

沸くようになっていた。一日も早く飛行場

を完成させたい、その思いを抱いて義三は

努力を続けた。この年の五月には、第二期

機関学生十五名が入学し、学校も活気

づいてきていた。

 飛行場建設用地の入り口は農道で道幅が

狭く、またすぐ奧には競馬場(甲府

グランド)がありここを通らなくては

工事ができない。工事関係者は通るたびに

柵を外し、年間の通行料は五十円(現在の

通貨換算で約五万円)も払わなくては

ならず、不便極まりなかった。

 とにかく、完成を急ぎたかった。

本格的な工事にかかるため、事務所兼宿舎

を建てて、入り口に『愛国山梨飛行場

建設事務所』の看板を掲げた。ここに

篠田飛行士と部下二人が住み、作業員も

十数人雇い入れて整地工事を始めた。

 当時の工事は、建設重機もろくになく、

人力勝負である。

 釜無川の河川敷の荒れ地は、何度も

川の氾濫を受けているため地盤は凸凹が

激しく、柳、松、ポプラなどの樹木が

伸び放題に生い茂っている。

 その樹木を取り除いて地盤を平らに均し、

飛行機が安全に離着陸できる滑走路を

設けるのは容易なことではない。

 作業員たちは鎌や鉈で草木を刈り取り、

鋤やつるはしで地面を掘り起こし、

そこからかき出した石は天秤棒や猫車と

呼ばれる手押し車で運び出していく。

 それを見ていた義三も思わずそこへ

飛び入りし、つるはしを振り上げて

地面を掘り出した。大小の石がゴロゴロ

している地面は容赦なくつるはしを拒む。

それでも懸命に振り上げ、土中から石を

拾い集めた。短時間のうちにたちまち

全身に汗が流れてきた。それでもまだ

わずかな地面しか掘り進められていない。

一体あとどれくらいの年月がかかるの

だろう。

 絶望的な気持ちになりかけながら

それでも必死でつるはしを使っていると、

篠田飛行士が義三のもとへ駆け寄ってきた。

 「梅沢先生!何をされているんです!」

 「少しでも工事が進めばと思って、

手伝っているんだ」

 「工事は我々にお任せいただき、先生は

学校の運営と教育に専念なさってください」

 「何を言う!皆がくる日もくる日も汗水

流して一生懸命にやってくれるのは

わかるが、これだけの広い荒れ地を

整備するには途方もない時間がかかる。

一人でも多くの人手が必要だ。だから、

私も手伝うのだ」

 「お気持ちはわかりますが、先生……」

 篠田飛行士の困った顔に、義三は我に

返った。

 「そうだな、私がやるべきことはもっと

他にあるな。人手を集める手配をすること

が必要だな」

 「おっしゃる通りであります」

 義三は泥だらけの手で額の汗をぬぐい、

黒くなった顔をほころばせて

 「早速、行ってくる」

 と工事現場を後にした。

 義三が向かった先は、地元の在郷軍人

連合会の会長であった田中仲吉氏宅で

あった。飛行場建設工事にあたって、

一人でも多くの人手が欲しい、なんとか

協力していただけないか、と相談しに

行ったのである。

 「今は梅沢さん個人の飛行場だが、

やがて国運に役立つものになることで

しょうな。まずはその飛行場の現場を

見に行くことにしましょうや」

 田中氏は興味を見せた。

―つづく―

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